tan-chan!出番だ!(写真:小さい青い浴衣=平山あや)

平山あや到着後およそ5時間が経過した・・・・。

撮影は順調、エキストラさんたちが出動するシーンもいくつかあった・・・。

日も暮れてきた、神社内のセミもスズムシとバトンタッチを始めた。

そんな中迷い込んだ野良猫と会話する男が一人。

男は言った



おい・・・・


 おれの出番はまだか?






彼の名前はtan-chan。
東京から1時間30分かけてきた青年である。

が、そんなことはお構いなしに撮影はすすむ・・・。


スタッフ「はい!じゃあ浴衣の方入ってください!」


 またか、



夏祭りの撮影なので浴衣のエキストラは駆り出される。


彼はこの日




     全身ユニクロだった・・・




それはもうユニクロのCMに出れるくらい見事な着こなしだった。
ユニクロの撮影なら彼の独壇場だったろう・・。


が、現実は、厳しかった・・。


そして、いよいよ太陽さんも沈み始め、
これまでか、と思ったその時だった。





スタッフ「はい!そこの人、入って!」

tan-chan「ん?おれ?」

スタッフ「ごめん、人数が足りなくて、
     あれ覚えたよね?」

tan(あれってなんだ・・・?)

彼は顔を上げた、そこには太鼓とかを叩くようなお立ち台を中心にみんなが輪になって踊っている


これは・・・盆踊り・・・?


そう今撮ってるシーンは盆踊りのシーン。
祭りをやってるぜ!という事を演出するためのワンシーンだ。

彼は当然、覚えていない。


「覚えてねえよ、見てねえもん」


ということを口に出そうとしたその時だった!





「はい、大丈夫です。」





タタ――――ン!





彼は口走ってしまった・・ドウソである。

出たかったんだ。



そして彼が入ると同時に

「本番行きマース!」



ドドンガドン!ドドンガドン!


月がぁー出、た出た!月がぁー・・・・♪♪





は、始まっちまった!どうしよー!ドウシヨー!

彼は慌てた、間違いなく困った顔をしていたハズだ。間違いない。
やがて彼は一つの結論をだす・・・。











ままよ!






彼の知ったか盆踊りはこうして始まった。


顔は笑っているが、
体はまるで人形のようなぎこちなさ。気持ちわるい



後ろの人の足を踏んだ回数:2回
前の奴が下がってきてぶつかりそうになった回数:3回
間違えた回数:逆に合ってた回数はあるのかい?




・・・ドドンガドン!ドドンガドン!


「はい、カット!チェックしマース!」



さあおれを抜いてやるがいい、もう満足だ。





はい、オッケーでーす!






おい




い、
いっちゃった・・・。






こうして、それから全く彼の出番はなく、撮影は終わる。




そして、ADから疲れ果てた戦士達に謝礼が!



いや、ノーギャラだって聞いてたのに、わりいなあ。




「どうぞ。」



ポン。





・・こうして彼は帰路についた。

「tv asahi」と書いたドラえもんのミニタオルを手に。




後日、このタオルは雨に向かう彼と彼の友達によって引き裂かれ



「なんでこんなちいさいんだよ、使えない。」



といわれる運命にあるが、



それはまだ先の、はなしである。






tan-chan:

往復時間ー3時間
出費ー1500円
出演時間ー二分(使われるのは2秒ぐらいだろう・・)
待ち時間ー11時間
出る保証ー出てたら奇跡










もういかね